刷毛好きの話 パート②

刷毛好きの話 パート② 

こんにちは。

最近どうしたんでしょうか。

忙しくてたまりません。

僕だけ??

いえいえ。

建築塗装業界全般のようです。

今やどこもかしこも塗り替えラッシュ。。

塗装バブルとはこの事ですね。

今はこの業界、良くない流れではありますが、自分は自分の信じる仕事をしていきますよ。

周りは周り。自分は自分です。

さて、最初に刷毛好きの話を書いてからもう半年が経ちました。

塗料(趣味)の話の中でも「刷毛好きの話」のページが一番人気がありまして。

「同業者の方が見てるのかな?」なんて考えると、ついついうれしくなってしまいます。

その記事の続編と言いますか。

ジャジャーン!!

僕の刷毛壺公開!!

という事で、今回は僕の刷毛壺とレギュラーメンバーの刷毛達を公開したいと思います。

・刷毛壺というのは刷毛の保存容器の事で、この刷毛壺という物の中に塗装職人は刷毛を保存しています。

こんな感じの物です。

 

この刷毛壺(刷毛保存容器)というのは溶剤用。つまりシンナーで希釈する塗料を塗る為に使う刷毛用の保存容器です。

昔はいわゆるペンキ。

今ではペンキではなく弱溶剤系のウレタンやシリコン・ふっ素樹脂塗料なのですが

この様に主流の塗料が変わっても、昔ながらの道具を使い、手作業で作業を行っています。

塗料や塗る箇所が変われども、美しく塗る為には刷毛をいつも綺麗に手入れし、その綺麗にした刷毛を保存しておく事が必要です。

刷毛は塗装職人の命とも言える仕事道具ですからね。

さて、

内蓋を外してみるとこんな感じです。

僕の場合、この液体の中身は塗料用シンナー・ウレタンシンナー・ラッカーシンナーを混ぜた物で、その液体の中に刷毛を浸しています。

自分はこのシンナーの割合と組み合わせにメリットを感じてそうしているんですが

人によっては「塗料用シンナーだけ」と言う人や、「昔ながらのボイル油」はたまた「エンジンオイル」に刷毛を浸している人もいます。

職人の好みによって分かれるところが大きいですね。

いよいよ刷毛の紹介に移ります。

まずは目地刷毛。

左の4本が普通用?といってはおかしいですが

荒仕事にも使い、鼻隠しの奥の方や、瓦の隙間を塗装する時などに主に使います。

頂き物の刷毛ですが、金額的に安価なタイプの目地刷毛で、毛の質感や塗り上がりの肌などは「値段なり」と言ったところです。

真ん中の細いタイプの目地刷毛はシーリングのプライマー等を塗る時に主に使う刷毛です。

そして右側の3本がレギュラーの目地刷毛です。

写真では分かりづらいかもしれませんが、毛の質が普通の安価な目地刷毛と全然違うので、塗り心地や塗り上がりの肌が良いです。
ネタを含んだ時のプルプル感がそこらの物と一線を画していて、なんならそこらの一寸の筋交い刷毛より良い仕事をしますよ。

右の2本が山冨で、1本が材料屋さんにあった古い目地をもらったものです。古い刷毛の方にはだるま印の会社印に「最高級」と書いてありました。

まさに最高級の刷毛です。

つづいてユリックス刷毛とピット刷毛です。

一番右の刷毛がピット刷毛と言われる刷毛で、ここまでちびした刷毛は着色用に使います。

そのピット刷毛の左側の4本は、形は違いますがどれもユリックス刷毛と言われる刷毛です。

右の2本は薄口タイプ。左の2本は普通タイプと呼ばれる物です。右の2本の薄口タイプは、主に縦樋の外壁側を塗る目的で使用しています。

縦樋の裏側はどうしても外壁との距離が近い為に塗装しずらい場所です。
目地刷毛塗ってもいいんですが、横に擦るか、縦樋と垂直に刷毛を動かして塗る事になってしまいます。

この様な薄口タイプのユリックス刷毛を使う事で、縦樋の正面側と同じように美しく樋裏を塗装する事が出来ます。

僕の大好きな刷毛です。

ちなみに、ユリックス刷毛の「ユリックス」の語源を調べていたんですが、あまり詳しく分かりませんでした。

一説によると昔「ユリア樹脂」の塗料を塗る為に使われていた刷毛だからユリックスと呼ばれるようになった。という話もあります。

もし刷毛に詳しい方がいましたら是非教えて下さいね(^-^)

続いては平刷毛です。

この刷毛は実はあまり登場機会はないのですが、カッコいいのと見たいのと使いたいとの三拍子で、僕の刷毛壺にいつも収まっています。

この刷毛は波型スレートの塗装や、大きな破風板の塗装に使います。

波型スレートを塗っているところの画像です。

昔の塗装職人さんは全てこの刷毛で塗装していたみたいですね。

使ってみると分かりますが、この重たくて捌きにくい刷毛で天井を永遠と塗っていたと聞くとゾッとします。

これでも「ムラ切り」なので平刷毛の中ではコンパクトなサイズですから。

昔の職人さんって凄いんだな。(^-^)

続いては付帯を塗る時に主に使用している刷毛です。

右4本が山冨の刷毛で、右から「やっこ」「栄光」「栄光」「やっこ」です。

一番右のやっこは毛質は良い感じなんですが、毛先が両切り感があって最初は使いづらかったです。

使いこんでいく内に毛先がまずまずになってきています。

その左の2本の栄光ですが、この刷毛の特徴は毛のしなやかさです。

非常に毛がしなやかで返りが良く、塗り心地が最高。プルプルの塗り心地と言えば良いんでしょうか。

普通使いこんでいかないと刷毛はなかなか馴染んでこないんですが、この刷毛は初めて使った時から素晴らしかったですね。
刷毛をネタに浸して、ペン缶でネタを切った時に刷毛の毛先が真ん中で重なりあって「ピンッ」となるあの感じはなかなかない感覚でした。

一応「ダメ込み用」となっていますがあまりダメ込みには向いていないようです。

その左側の刷毛がやっこです。

この刷毛は僕に刷毛の楽しさを教えてくれた職人さんから頂いた物です。
使いこんであるだけあって使い心地もよいです。
安定した塗り心地で、いぶし銀といった感じ?でしょうか。

一番左の刷毛が大塚刷毛の「白菊」です。

この刷毛は僕自身が使用している刷毛の中では一番の古株で、5年くらい僕の相棒です。

大分使いこんでいるので毛足が短くなっていますが、木部での塗装で非常に活躍してくれています。

僕が一番愛着を持っている刷毛かもしれませんね。
綺麗に愛着をもって使えば、刷毛はだいぶ長い間相棒として活躍してくれます。

さて、大きい刷毛ものせておきますかね。

右から大塚刷毛の「阿蘇」。山冨の「やっこ」。同じく山冨の「やっこ」です。

大塚の「阿蘇」は特にこれと言って使ってないんですが、何か用に一応入れている刷毛ですね。

使い心地は可もなく不可といった感じで、毛量が多いのが特徴の刷毛です。
同じ大塚刷毛の「花火」の上位グレードになるんでしょうか。

でも逆に阿蘇を使うなら花火の方が良いかもしれませんね。

その隣が山冨のやっこの2.5寸です。

この刷毛は使いだして間もない事もありますが、その大きさも相まってなかなか刷毛を使いこめていません。
両切り感が非常に強い刷毛ですね。
使いこんでない状態では非常に扱いにくい刷毛ですが、1.5寸のやっこのように良い刷毛になる事を期待して使っていきたい刷毛です。

一番左の刷毛が山冨のやっこです。

実はこの刷毛も頂き物で、上の画像のやっことセットで頂きました。
上のやっこより使いこまれており、使い心地も良いです。

使いこみすぎてネタの含みがやっこにしては弱いのですが、とても使い良い刷毛です。

最初の頃の気持ちを思い出させてくれる大事な刷毛です。

矯正中の刷毛です。

現在布を巻いて型付け・型崩れ防止中の刷毛です。

山冨の「淀」と大塚刷毛の「阿蘇」です。

この「淀」という刷毛の塗り心地は最高ですよ。
現在も山冨の淀を購入する事は出来るので、ぜひ購入して毛先の統一感にびっくりして下さい。

話は戻して。

この刷毛三本も刷毛壺に浸してある刷毛ですが、現在は布で締めています。
こうする事で型崩れを防止し、少し毛元が開いてきた刷毛の胴を締める事が出来ます。

特にこの山冨の「淀」などは毛量が多い為に少し毛先が開きやすいです。
その為、この様に布で締めて良い形に矯正している訳ですね。

みなさんも「この刷毛良かったけどもうだめかも・・」と思う刷毛があれば捨ててしまう前に、一度布で矯正してみてはどうでしょうか。

もしかするとさらに良く蘇るかもしれません。

最後に

自分は刷毛が好きで、比較的良い値段のする刷毛を使っています。

刷毛の金額を聞いて「高い。」という職人さんや、中には失笑する塗装店の方もいます。

でもそれってちょっとおかしな事だなと思いませんか?

と僕は思います。

他に無駄に使っているお金があるんだから、そのお金を少し仕事道具に回せば自分の使いたい刷毛を使う事は出来るはずです。

そもそも刷毛が1本2600円したところで大した金額じゃないと思いますよ。

刷毛は自分の仕事をする上で命の次に大事な物です。

大事に使えば長く使えて、仕事に対するモチベーションもあがります。
職人としての仕事のあり方も考えさせてくれます。

そんな大事な道具なんです。

だから大事にしましょう。

という記事でした。

すみません。偉そうに。

こんな良い仕事、他にはあまりないと思うなあ

しみじみ思ってみたり。

いいなぁ・・・

と、眺めてみたり。

飽きずに最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。

どんな些細な事でも当店に気軽にご連絡下さい。

ご連絡おまちしてます(^-^)/~

この記事を書いた人