塗料の中の話

塗料の中の話 

こんにちは。

塗料(趣味)の話を書いていくにあたって、最初の間にまずは塗料の基本を書いていこうと思います。

今回は「塗料の中の話」と題しまして、塗料を形作っているもの。

塗料の「構成」・「構成物」について書いてみたいと思います。

しかし、咀嚼・要約しながら、簡潔に書いてもかなりの長文になってしまいました。
もっと掘り下げた話は別記事で書きながら、ある程度大まかな?話は書けたつもりです。

面白くないかもしれませんが、興味のある方はどうぞお付き合いください。

塗料の種類は無数にあり、その塗料によって塗膜形成要素(塗膜になる物質)も変わります。

過去に主流で使われていた塗料と、現在主流に使われている塗料も違います。
ここでは、現在住宅の塗りかえで主流に使われている塗料に的を絞って書いていきたいと思います。

■「塗料の構成物」を大きく分けると、「塗膜を構成する成分」と、「揮発性成分」に分かれます。


その中の「塗膜を構成する成分」も、細かくカテゴリ分けしないと説明出来ないのでので、もう少し分けておきます。


・塗料を構成しているは「塗膜構成成分」と「揮発性成分」です。

その中の「塗膜構成成分」はこの様に分ける事が出来ます。

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・塗膜形成要素(樹脂)

・顔料

・塗料の補助成分(添加剤など)

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上記の項目について、一つずつ説明していきたいと思います。



・塗膜形成要素(樹脂)

塗膜形成要素とは塗膜形成の主体となる成分で、古い塗料だと「あまに油」や「きり油」等の乾性油も塗膜形成要素でしたが、現在の塗料には乾性油の説明は必要ないので省略します。

現在の合成樹脂塗料では「樹脂」が塗膜形成要素にあたります。
塗料の性能を決める大部分が「塗膜形成要素」(樹脂)で、塗料の金額もこの樹脂のグレードによって変わります。

一般的にはウレタン・シリコン・ふっ素など、『塗料=樹脂』のイメージが定着していると思うので、塗料店にもお客さんにも一番重要視される項目じゃないでしょうか。


「塗膜形成要素」の説明では、現在主流で使われる塗料の「ウレタン樹脂塗料」「シリコン樹脂塗料」「ふっ素樹脂塗料」の事を書いていこうと思います。



それでは、それぞれ樹脂別に詳しく書いてみます。



■ウレタン樹脂塗料

ポリウレタン塗料、あるいはアクリルウレタン塗料ともよばれます。
この塗料には一液タイプと二液タイプがあり、一液タイプは使い勝手に優れ、二液タイプは性能に優れています。


ウレタン樹脂塗料と名乗る為には「分子内にウレタン結合、またはそれに類似の結合を持つウレタンが基体となる事が条件」ですが、このウレタン樹脂というのは万能で、現在では色々なウレタン樹脂塗料が発売されています。


・二液硬化形ウレタン樹脂塗料

二液タイプのウレタン樹脂塗料は「ポリオール硬化形」といわれます。
アクリルポリオールやポリエルテルポリオールに、各種のポリイソシアネートを硬化剤として二液硬化形塗料としたものです。

本来はこのタイプが(自分の中で)本当のウレタン樹脂塗料なんですが、一液タイプと二液タイプの違いを知って使っている人はあまりいないんじゃないでしょうか。

この二液タイプのウレタン樹脂塗料にもグレードがあり、ウレタン樹脂の配合量などで金額が変わってきます。
ウレタン樹脂塗料には、シリコン樹脂塗料よりも金額も耐候性も高い塗料が存在します。


・一液硬化形ウレタン樹脂塗料

主に油性変形ポリウレタン塗料と湿気硬化形ポリウレタン塗料があり、油性変形ポリウレタン塗料は酸素と反応する事によって、湿気硬化形ポリウレタン塗料は空気中の湿気と反応する事によって硬化します。


最近で一液タイプの塗料の塗料液中に主剤と硬化剤が入っているタイプがあります。
この塗料は、反応が進むにつれて主剤と硬化剤が混ざり合い、硬化していきます。
このタイプの塗料、二液硬化タイプのウレタン樹脂塗料と同じくらいの耐候性があるという人もいますが、自分は二液信者なので「一液が二液に勝てる事はない」と思ってます。

これはあくまで個人的考えですが、このタイプ塗料は水性塗料の硬化方法と似ていて、アクリル樹脂(アクリルラッカー)を揮発乾燥させながら主剤と硬化剤が接近して反応し、硬化する塗料のはずです。
その為にはどうしてもアクリル樹脂が必要で、アクリル樹脂の配分量もメーカーにより変わってきます。(もちろん二液タイプでも一緒ですが。)
場合によっては酸化重合や湿気硬化をするウレタン樹脂をかけ合わせているメーカーさんもあると思います。

スズカファインの一液ワイドウレタンは缶内で硬化が進んでいくが、日本ペイントの一液ファインウレタンは缶内で硬化が進んでいかないといった現象も、メーカーによって一液塗料の樹脂構成が違うからだと思います。
缶内で硬化反応が進んでいくスズカファインのワイドウレタンが優れているとは言いませんが、メーカーさんに問い合わせる事で、その塗料が一体どういう塗料なのかを判断する一つの基準になりそうです。

ちなみに、二液タイプのウレタン樹脂塗料もアクリル樹脂は含まれいますが、そもそも一液タイプとは別の塗料という認識なので、個人的には信頼度が高いです。
仕上がり性も良く、硬化剤の種類により塗膜の弾性(柔らかさ)を変えられる塗料があるのも利点です。
耐候性の面でも優れているので、なるべく二液タイプの塗料を使いたいですね。


■シリコン樹脂塗料

シリコン樹脂塗料、あるいはアクリルシリコン樹脂塗料と呼ばれます。
商品名や塗料缶にはSiやセラミック等と書かれていますが、塗料に付加価値を付けようとしているだけで、実際は金額と経年の結果を見てみないと判断できません。
しかし、ウレタン樹脂塗料よりもグレードが高く、耐候性があり、低汚染型の塗料なので、ウレタン樹脂塗料よりワンランク上の塗料として知られています。
この塗料にも一液タイプと二液タイプがあります。


現在外壁や付帯で使われている塗料の主流は、この樹脂を用いた塗料じゃないでしょうか。
実際、費用対効果(金額と品質維持のバランス)においてはシリコン樹脂塗料が一番優れていると言われていますし、他の塗装店のHPを見る限りでも、大体お勧め塗料は「シリコン樹脂塗料」か「光触媒塗料」(もしくはガイナ)になっています。

シリコンのSi-O結合、またはシロキサン結合ともいわれますが、この高い結合エネルギーにより、高耐候性・耐熱性・耐薬品性に優れた塗膜になります。
この塗料の二液形硬化剤は、ウレタン樹脂塗料と同じイソシアネートです。
不思議ですね。
この塗料はアクリルシリコン樹脂の主鎖(結合した樹脂)にウレタン樹脂を組み込み、アクリルシリコン樹脂同士をウレタン樹脂で結合させているからです。
なので正確には「アクリルシリコンウレタン樹脂塗料」と呼んだ方が正しいかもしれませんね。

このシリコン樹脂塗料は、水系塗料の外壁用が広く使用されていると思います。
価格は塗料のグレードによって様々で、アクリル樹脂とシリコン樹脂を重合させた時のシリコン樹脂の配合量によって金額も性能も塗料によって変わります。

一般的に塗りかえで用いられる汎用塗料、商品名で言えば、菊水化学工業のファインコートシリコンや、スズカファインのシリコンユニなどは淡彩色で12000円~18000円/缶程度です。
高級シリコン樹脂塗料になってくると業者販売価格が40000円/缶以上する、とても高価な塗料も存在します。
スズカファインの「水性セラフレックスSi」という塗料も高級シリコン塗料にあたります。

各社塗料メーカーでは、汎用塗料・それより少しランクの高いシリコン樹脂塗料・高級シリコン樹脂塗料とグレード分けして製造・販売しています。
全ての塗料が「金額=性能」ではないですが、一般的に高級な塗料ほど、低汚染・高耐候性です。



一般的なシリコン樹脂塗料ではないですが、光触媒塗料のトップコートも、いわばシリコン樹脂塗料です。

シリコン樹脂とはケイ素化合物の総称なんですが、ケイ素化合物の事までは今の自分は説明出来ません。
もっと勉強して、自分が理解出来たら徐々に記事にしていこうと思いますので、今回は何故光触媒に使われているかだけ書いておきます。

光触媒塗料は自らの分解作用によって塗料自身もダメージを受けます。
この「酸化還元作用」に負けない為に、そのエネルギーよりも結合力の強い樹脂で塗料を作らなくてはいけません。
そこで、酸化還元のエネルギーに負けないケイ素(Si)をアルコール類の溶剤で溶かし塗料液とし、光触媒塗料のトップコートを作っています。
この塗料も2Kg/40000円と、かなり高価な塗料なんですよ。

光触媒の詳しい話は光触媒の話をご覧ください。


■ふっ素樹脂塗料

ふっ素樹脂は元々宇宙開発技術の一つとして生み出されたもので、非常に優れた特性を持つことから様々な分野で利用されてきました。
塗料の分野でもいち早く取りいられましたが、従来のふっ素樹脂塗料は、樹脂の化学的安定性が高すぎて溶剤に溶かす事が出来ず、高温焼き付けによる硬化方法しかありませんでした。
しかし、溶剤可溶形の樹脂が開発されて、常温で硬化するタイプの塗料が生み出されました。

ふっ素樹脂塗料は各種合成樹脂の中で最も化学的安定性が高い「炭素―ふっ素」結合を有する樹脂を使用し、耐候性・撥水性・耐摩耗性・耐熱性に非常に優れています。
また、この塗料は酸素透過性・水蒸気透過性にも優れ、金属へ塗装しても防錆力を発揮します。
なぜ酸素透過性に優れると錆にくいのか、そもそもなぜ金属が錆びるのかは「錆について」の話としてまた別の記事で書こうと思います。

この塗料は主剤と硬化剤混ぜ合わせる二液硬化タイプの塗料ですが、この塗料はウレタン樹脂塗料の樹脂をもっと強固で安定した樹脂に置き換えた塗料です。
ウレタン樹脂塗料の技術が応用されているんですね。

全ての炭素がふっ素と結合した4Fといわれるふっ素樹脂の登場により、全ての結合エネルギーが紫外線のエネルギーよりも高く、非常に耐候性の高い塗料も発売されています。
理論上は半永久的の光沢維持だと言われています。
旭硝子の「ルミフロン」などの商品ががこれにあたりますが、塗膜が傷む要因は紫外線エネルギーだけではないので、現実的には半永久の塗膜は難しいでしょうね。
それでもふっ素樹脂塗料の耐候性は非常に素晴らしく、低汚染(親水性)との組み合わせにより、長期間の美観を維持出来ます。

また、外壁の垂直部より2倍過酷な環境である屋根の傾斜部に、こういう超高耐候性の塗料を使用すると力を発揮します。

材料価格は、いわゆる高級シリコン樹脂塗料より少し高価ですが、作業工程自体は他の塗料とあまり変わりません。
塗り替え工事では材料費より人工費の割合の方が大きいので、ふっ素樹脂塗料にしてもそこまで大きな金額の違いがないと思います。

個人的にはあまり外壁にふっ素樹脂塗料をもっていくメリットは薄いかな?と思いますが、
屋根や、樋などの付帯部分に使用すると長期の艶が期待できるので、そういう箇所には良いかもしれません。
ふっ素樹脂塗料の見積りと、通常塗料の見積り、両方を比較しながら検討されてはどうでしょうか。屋根と付帯部分にはオススメの塗料です。



塗膜形成要素(樹脂)については以上です。
以下からは顔料の話へと進めていきたいと思います。



・顔料

顔料とは有色不透明で、水・油に溶けない粉末の事で、その粉末が均等に分散する事により、塗膜に色彩を与えます。
この顔料という物質は特定の光の波長を吸収、または反射する事でその反射された光を見て、人は色として認識しています。

真っ赤なリンゴは青と黄色の波長を吸収し、赤色を反射している訳なので、逆に言うとリンゴ自身は赤色を嫌がっている。という風にも考えれますね。
「光と色の話」は書きだすと凄く長い話なので、別枠で書きたいと思います。


顔料のカテゴリを分けるとまず大きく三種類に分ける事が出来ます。

それは塗膜に特定の色彩を与える「有色顔料」と、塗膜にほぼ色彩を与える事のない「体質顔料」機能性を与える「機能性顔料」に分かれます。
ここでは「有色顔料」と「体質顔料」の説明をしたいと思います。
あまりに記事が長くなりそうなので、機能性顔料については「錆と紡錆の話」にて書きたいと思います。


■有色顔料とは

有色顔料は、無機顔料と有機顔料に分けられます。


・無機顔料

無機顔料は鉱物性顔料とも言われ、鉱物の加工品である天然無機顔料と、化学的に合成された合成無機顔料に分ける事が出来ます。
無機顔料は、一般に変色しにくく化学的に安定しているので、塗料には無機顔料が多く用いられます。
ちなみに、光触媒に使われている酸化チタンも無機顔料の一つです。
そしてその酸化チタンはホワイトチョコなどの食品の着色料としても使われているんですよ。

無機顔料には体質顔料とよばれる種類の顔料が含まれています。体質顔料については後ほど説明します。


・有機顔料

有機顔料は植物から採取した不溶性を新す染料をそのまま顔料として使用するものと、植物や動物から抽出される染料をレーキ化させたものが古くから存在します。
現在使用されている有機顔料の大半は、石油工業から作られている合成有機顔料です。
この合成有機顔料には、化学構造自体が不溶性のものと、水溶性の合成染料をアルミナフレークや硫酸バリウム等の体質顔料(基質とも呼ばれます)に定着させ、不溶化させたレーキ顔料があります。

有機顔料は一般に隠ぺい力・耐候性・耐溶剤性・耐油性が無機顔料と比べて劣る為、塗料には無機顔料が優先して使用されます。
しかし、有機顔料は無機顔料にはない色彩の鮮やかさを持っている為、色彩の鮮やかな塗料の場合は有機顔料が使用されています。
有機顔料でしか出せない色彩って結構あるんですよ(^-^)


そもそも無機顔料と有機顔料のくくりはどうやって決めているんでしょうか。


「有機」と「無機」の違いを考えてみます。

現在、「無機」「有機」の違いは「炭素を有するか有さないか」だと定義されています。
簡単に判断するには、燃やしてみて「燃えるか燃えないか」で判断できます。

しかし、このくくりは非常にあいまいなので、耐候性があれば無機、なければ有機。
顔料の主鎖(鎖のつながり)が短ければ無機、長ければ有機、と自分は考えています。

こういう所は参考書読んだり、塗料メーカーさんの見解を聞くしかないですかね。


この主鎖(鎖のつながり)の、どこか一か所が紫外線エネルギーによって切られると、その顔料は色彩を失います。
有機顔料の場合、主鎖(鎖のつながり)が長いので何かの要因で切られる可能性が高く、耐候性があまり良くありません。
無機顔料の方が主鎖が短いので切られにくいので=耐候性がある、という風に理解すればいいかもしれませんね。
光触媒の記事で書いた「ほぼ無機に近い顔料」というのは、無機顔料の様に耐候性の高い有機顔料の事なんですね。


■体質顔料とは

体質顔料とは、空気中では白色(白い粉末)ですが、水や油と練り合わせた時、屈折率の関係でほぼ透明に見える顔料の事です。

この体質顔料は塗料に様々な目的の為に使用されます。

・塗料自体の量を増やし、また顔料の使用量を節約し、塗料の原価を抑える為に加えられます。
・塗装膜の肉好きを良くし、またサンディング(木部用透明下塗り材)の様な、研磨する事を前提する塗料の研磨性を上げる為に加えられます。
・塗料の艶を消す為に、艶消し顔料として加えられます。
・アルミナフレークや硫酸バリウム等の体質顔料に合成染料を定着させ、レーキ顔料を作る為の基質として使用されます。

塗料のかさ増しに使われる一方、塗料には欠かせない顔料としても使用されています。


屈折率の関係について説明しておきましょうかね。


コップの中に水を入れ、スプーンを入れてみます。
すると水と空気の境でスプーンは折れ曲がった様に見えます。これは水と空気の境で光が折れ曲ってしまう為です。
このように、光は違う物質と物質の間を通る時に進む方向が少し変わります。

コップの中に水を入れ、ガラス製の板を入れてみると、お互い透明なのに水の中にガラスが入っている事がすぐに分かります。
これは水とガラスの屈折率が違う為、ガラスと水の境界で光の進む方向が変わる為です。

今度はコップの中の水を油に変えてみます。すると、コップの中のガラス板は見えなくなります。
これは油とガラスの屈折率がほぼ同じ為、光の進む方向がほとんど変わらない事が原因です。
ガラスと油はお互い屈折率が1.5と近いので、こういう現象が起きます。
屈折率はその物質により変わりますが、その屈折率の数値が近いほど見えにくくなります。



水(1.33)や油(1.5)に屈折率が近い物質を用いる事で、塗料に加えても分かりにくく出来ます。
これが体質顔料と言われる顔料のしくみです。


顔料については以上です。
以下からは塗料の補助成分について書いていきたいと思います。



・塗料の補助成分

塗料には、塗膜の性質・性能を改善する為に添加物という物を加えて塗料を作っています。

添加剤は種類が多く、書いていくと長すぎるので、簡略に書きたいと思います。
また書きたくなったら「塗料の補助成分」として書きたいと思います。


添加剤には
可塑剤・乾燥促進剤・分散剤・界面活性剤・消泡剤・皮張り防止剤・増粘剤・タレ防止剤・防カビ剤・坊腐剤・紫外線吸収剤・紫外線安定剤
など、書ききれないほど種類があります。

この添加剤の効果により作業性が良くなったり、その他(カビ発生を抑制等)の機能を追加します。

特徴的な添加剤を何点かピックアップしてみます。


・可塑剤

可塑剤は塗料以外でも用いられており、自分達に一番関係してくるのがシーリングに添加された可塑剤じゃないでしょうか。
可塑剤とは、その名前の通り柔らかくする為に使用されています。
これがシーリングに用いられている場合、可塑剤が塗膜に移行してきて汚染の原因になります。
汚染された状態の事を「ブリード」と呼びます。ブリードを抑える為には「ブリードオフプライマー」等の処理が必要です。


・界面活性剤

名前の通りの添加剤もあれば「界面活性剤」の様に、いまいちピンとこない物もあります。
界面活性剤は洗剤などにも使用されている物質です。

みなさんは食器などに付いた油汚れがどうやって落ちているか知っていますか?
本来、水と油は混ざりません。しかし界面活性剤は磁石のN極とS極のように、水と油どちらとも結びつく性質を持っています。
油汚れの場合、まず油と界面活性剤がくっ付き、その後水と界面活性剤がくっ付く事で、本来混ざらない水と油同士を結びつけ、油汚れを洗い流す事が出来ます。

塗料の場合だと、水系塗料を作る時にエマルション化させる為に使われます。

水性塗料の詳しい事はまた別枠で書きたいと思います(^-^)


・紫外線吸収剤・光安定剤

他にも最近は紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤(HALS)があり、この物質を少量添加する事で、耐候性を飛躍的に向上させる事が出来ます。
ホームセンターで売られている一般向けの塗料には「HALS配合」と、セールスワードとして書かれている商品もあります。
他にもプラスチック製の結束バンド(商品名ではインシュロック)などは、内部用と外部用で分かれていますが、これはUVAやHALSの添加剤が添加されているかどうかの違いなんですよ。



塗膜構成成分については一応以上です。



ここからは「塗膜構成成分」と「揮発性成分」の
「揮発性成分」の事について書いていきます。


・揮発性成分

揮発性成分とは塗料が塗膜になる過程で「揮発(蒸発)」し、塗膜成分にならない物質の事です。
要は水やシンナーの事ですね。

しかし、この成分は塗装作業する上ではなくてはならない成分であり、この揮発性成分の分量によって、塗料の特性(塗り感)が変わってきます。
長期間の保存中、顔料の沈降を完全に防止する事は困難なので、この「揮発性成分」抑える事により、顔料の沈降を防ぎます。
この為、塗料は本来より濃度が濃い状態で出荷されます。
その塗料を現場で塗料の種類や施工の内容によって希釈し、使用します。


塗料には水性塗料と油性塗料があり、建築塗装で使われる塗料は大きく三種類に分類されます。

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・水系

・弱溶剤系

・強溶剤系

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この○○系に合わせて、その塗料に合った希釈剤を使い分けます。
一つずつ書いていきます。


・水系塗料

このタイプの塗料の揮発性成分は「水」で、水分が蒸発する事によってエマルション化された樹脂が接近し、塗膜を形成します。
希釈剤が水なので臭いが少なく、塗装中の嫌な臭いが軽減されています。
環境や、人体への有害性が溶剤系塗料と比べて低いので、現在では様々な方面で溶剤系塗料から水系塗料へ切り替えられています。

しかし、現状では溶剤系の塗料でしか出来ない事が多いので、住宅では外壁や屋根、または内装に使われるまでで止まっています。
「モニエル瓦」に塗装する場合や、コロニアルやカラーベスト等の商品名で知られる「新生スレート瓦」の塗装も、個人的には水系塗料よりも溶剤系塗料の方が優れていると思います。
特にモニエル瓦はスラリー層の影響で、塗膜の剥がれ等の重大な塗装欠陥が特に多く起こりやすいので(殆どの場合が施工ミスですが)、水系塗料より浸透力が高く、より信頼度が高い溶剤系塗料を自分は選びます。

現在は重防食などの分野でも「溶剤系塗料から水系塗料へ移行していこう。」というのが現在の流れなので、これからはますます水系塗料へと変わっていきそうです。
ちなみに、水系塗料の「錆止め塗料」っていうのもあるんですよ。
水系塗料のエマルジョン化や乾燥・硬化のしくみ等、まだまだ書きたい事は山積みなんですが、あまりに長くなりすぎるので、水系塗料の話はまた別枠で書きたいと思います。(^-^)


・油性塗料

油性塗料の揮発性成分は「有機溶剤」(有機溶剤の総称としてシンナーと呼びます。)で、この有機溶剤の成分の組み合わせにより、弱溶剤系・強溶剤系に分かれます。
また、有機溶剤自体、性質や溶解力によって「真溶剤」「助溶剤」「希釈剤」に分けられ、真溶剤・助溶剤・希釈剤の「希釈比」を相手の樹脂(塗料)によって変えています。
有機溶剤の事も話し出すと凄く長くなるので、詳しい話は別記事にして、ここでは大まかな説明をしておこうと思います。


・弱溶剤系塗料

このタイプの塗料の希釈剤は「ミネラルスピリット」とよばれ、自分達の業界では「塗料用シンナー」として知られています。
現在住宅の塗り替えで、主要部分に主に使用されているのはこのタイプの塗料です。
樋や破風などの付帯部分には、全ての塗装店がこの「弱溶剤系塗料」を用いているんではないでしょうか。
個人的には、屋根用塗料としても水系塗料よりも性能が高い場合が多く、外壁用塗料としても優秀です。未だに弱溶剤系の塗料を外壁に使用している塗装店も多いです。

また、強溶剤系の同じ商品と区別する為に「マイルド」などのワードが商品名に入っていたりします。

この塗料は希釈剤をトルエン・キシレンなどの芳香族炭化水素・エステル・ケトンなどの物質から、石油系炭化水素である脂肪族炭化水素・芳香族炭化水素に置き換えた事により、強溶剤系に比べ、臭いや環境への負担が少なくなっています。
また、旧塗膜への影響が比較的少なく、「リフティング」や「ちぢみ」などの塗装欠陥を起こしにくいのも特徴です。

「NAD」の技術もこの塗料の普及に一役かっています。
「NAD型塗料」の話はまた別枠で詳しく書きますね。


・強溶剤系塗料

このタイプの塗料は主に車両用や重防食用に使用されます。
住宅の塗りかえの場合、玄関ドア・枠や雨戸など、完璧な仕上がりを求められる時に使用されます。
このタイプの塗料は乾燥が早い為、湿度が高い時や気温が低い場合「ブラッシング」などの塗装欠陥を引き起こす事があります。
また、溶解力が高い為、旧塗膜の判断を間違うと「リフティング」や「ちぢみ」などの塗装欠陥が起こりやすい塗料でもあります。
ですが、錆止め塗料の場合、分類で分けると強溶剤系に属する塗料が、現場ではまだまだ現役で使われています。
神東塗料の「さびコート」や「ネオゴ―セー」もその一つです。

強溶剤系のシンナーも「ラッカーシンナー」「ウレタンシンナー」「アクリルシンナー」「エポキシシンナー」と、用途や塗料の種類によって分ける事が出来ます。
同じ強溶剤用シンナーならどのシンナーででも希釈出来るわけではなく、そのシンナーの中に入っている有機溶剤の種類により決まります。

例えば、強溶剤系のウレタン樹脂塗料の場合、ラッカーシンナーでも希釈する(薄める)事は出来ますが、ラッカーシンナーにはアルコールが含まれている場合がある為、ウレタン樹脂塗料には用いる事が出来ません。
これはアルコールがウレタン樹脂に反応してしまい、ウレタン樹脂塗料の本来の性能が発揮されなくなる為で、この事が原因で塗装欠陥を引き起こしてしまいます。
よく「乾燥不良や硬化不良の原因となるので、○○塗料の希釈剤に用いないで下さい。」と、塗料缶に「小さく」注意書きが書かれています。

塗料にはその塗料専用の「専用シンナー」という物もあり、専用シンナー用いる事で塗料の性能をいかんなく発揮する事が出来ますが、塗料側が「塗料用シンナー」や「ウレタンシンナー」などのシンナーに合わせている場合が多いですね。


以上が揮発性成分の大まかな話です。



今回の記事は長文になりすぎたので、ここまでにします。


また詳しい話は別の記事で書いていこうと思います。
ありがとうございました。

この記事を書いた人