左官壁の意匠性塗り替え
こんにちは
この記事では左官壁の意匠性塗り替えについての紹介をさせてもらいます。
変わった施工の記事なので、見る方も結構面白い記事かもしれません。
・左官壁とは
新築時に、外壁を「砂壁状仕上げ塗材」で独特のテクスチャを付け、仕上げられた外壁の事です。
窯業系サイディングボードでの外壁が主流の中、コテを用いたテクスチャで外壁や塀を仕上げている住宅も多くなってきました。
この様な外壁や塀を見た事はないでしょうか。
画像元:アイカ工業株式会社
これは「砂壁状仕上げ塗材」で仕上げられたサンプル画像ですが
新築の時はこの様に仕上げられた外壁でも、塗り替えをする時はそのまま塗りつぶしてしまうケースが殆どだと思います。
塗りつぶしてしまうのも良いんですが、せっかくのコテで付けたテクスチャがあるのでもったいないですよね。
そのテクスチャを生かせる方法がないかな?
と思い、少し変わった塗り替え方法を紹介させてもらう事にしました。
多分どの塗装店にもこの塗り替え仕様はないと思いますよ。
さて、
「砂壁状仕上げ塗材」とは
砂壁状仕上げ塗材とは、フジワラ化学株式会社が販売しているジュラペンアートシリーズに付けられた名称です。
正確には「外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上げ塗材」の事で、この材料を用いることにより、意匠性の高いテクスチャを付ける事が出来ます。
このような材料は、自由度の高い装飾性塗材などとも言われ
吹付け、ローラーなどによる多彩な表現が可能なため、建築イメージにふさわしい壁面が仕上げられます。
製品も各社塗料メーカーが販売しており
・フジワラ化学株式会社「ジュラクペンシリーズ」
・アイカ工業株式会社「ジョリパットシリーズ」
・エスケー化研株式会社「ベルアートシリーズ」
などの種類があります。
この様な材料には、様々な意匠性の高いテクスチャがあるので、その紹介もしておきたいと思います。
製品によるテクスチャの違い
各社HPにリンクされています。
・フジワラ化学株式会社「ジュラクペンアート」
フジワラ化学HP ←別サイトへ移動します
・アイカ工業株式会社「ジョリパットシリーズ」
アイカ化学HP ←別サイトへ移動します
・エスケー化研株式会社「ベルアートシリーズ」
SK化研HP ←別サイトへ移動します
この様に各社メーカー意匠性の高いテクスチャが用意されています。
「砂壁状仕上げ塗材」の商品・テクスチャについては大体分かったと思うので
ここからは意匠性を生かした塗り替え工法について説明していきたいと思います。
サンプルの作成風景を見ながら説明していきます。
サンプル板を作るにもまずは意匠性テクスチャをサンプル板に作成しなくてはいけません。
自分は前の会社で、左官職人さんとハウスメーカーの塀にコテのテクスチャを施工していたので、ある程度のコテ仕上げも出来ます。
なので今回のコテによるパターンも自分で作成していきます。
まずはケイカル板を45×45cmにカット
カットしたケイカル板にシーラーを塗布します。(写真は省きます。)
これは急激な乾燥によるドライアウトを防ぐ目的と、下塗りの密着性を高める為です。
その次に下地をコテにより塗っていきます。
左官屋さんはこの下塗りの事を「コスリ」と呼びます。
↑下塗り状況
下塗りが終わるとこんな感じです。
サンプル作成に使用している材料はフジワラ化学株式会社のジュラクペンアートです。
フジワラ化学株式会社は西条市大新田に本社がある塗料メーカです。
地元に材料メーカーがあるなんてちょっと凄いですよね。
ちなみに今治市にある晩餐館の「宮殿工場」もフジワラ化学株式会社のジュラクペンアートによって施工されてるんですよ。
さて、うんちくは程々にして。
次はコテによるテクスチャを付けていきたいと思います。
コテによるパターンは金コテによるパターンと、木コテによるパターンに分かれます。
今回は色のテクスチャに合う様に、木コテによるテクスチャサンプルを作成しました。
ちょっと画像が多いですが。。。
左 虫食い 右 横引き
左 ワイルドコテパターン 右 トラバーチン
左 プッツ 右 荒波押さえ
左 荒波押さえ 右 オリジナルパターン
並べてみるとこんな感じです。
今回は
虫食い・横引き・ワイルドコテパターン・トラバーチン・プッツ・荒波押さえ・オリジナルパターン
を作成しました。
トラバーチンとプッツが仕上がりに不満が残りますが、許容範囲内なので今回は目をつむります。
塗り替えの場合、もともとのテクスチャはありますからね。
ですが、今度サンプル作製をする時はもっと綺麗にテクスチャ付けよう!
どうでしょう。
この様なテクスチャ、外壁や塀で見た事があるんじゃないでしょうか。
サンプル作製の下準備が完了したので、今度はこれに色によるテクスチャを付けていきたいと思います。
作成方法を細かく説明出来ないので、実際にサンプルを見て、キレイかどうか判断してもらう方がいいと思います。
ですが、少しだけ作成方法を書いておきます。
まず、下地の吸い込みを防ぐためにシーラーを塗布します。
シーラーが乾燥したら下地になる色をローラーで塗布します。
この下地になる色というのは色のテクスチャによって違うで、そのイメージによって変えます。
そして違う色をスポンジを使ってのスポンジングしていき、色のテクスチャを付けていきます。
やっぱり文章では説得力ないですね。
仕上がった画像がこちらです。
左 荒波押さえ 右 ワイルドコテパターン
左 ワイルドコテパターン 右 トラバーチン
左 オリジナルパターン 右 プッツ
横引き(^-^;)
今回は
荒波押さえ・ワイルドコテパターン・トラバーチン・オリジナルパターン・プッツ・横引き
の色のテクスチャを作成しました。
最後の一枚は遊びですが、他のはまずまずの仕上がりですね。
実際に外壁に施工する場合は三枚目のプッツのような
ベージュとライトブラウンの組み合わせの様に
ベース色とスポンジングの色差がはっきりしすぎない位の色合いがオススメです。
暖色の色合いで施工する方がお家に温かみが出て個人的には好きですねぇ。
全体画像はこんな感じです。
実際に施工する場合は、僕がまた新たにサンプル板を作成しますので、どのような色味が良いかを伝えて下さい。
それに合わせて作成したサンプル板を見て頂くと、大体のイメージか分かると思います。
ただし
この施工に関しては「大体こんなイメージ」くらいで考えて下さい。
それはあくまで僕の感覚で行う作業なので、サンプル板とはどうしても少し違いが出てくるからです。
それでも、そのまま塗りつぶすのはもったいないので、「砂壁状仕上げ塗材」の塗り替えを検討されているのであれば
この様な意匠性を生かした塗り替え方法も検討されてみてはどうでしょうか。
ありがとうございました。m(__)m