雨漏りの原因は
ここでは『雨漏りについて』の続編として、お話を書いていきたいと思います。
『雨漏り』が発生した場合、その原因を突き止めない限り、雨漏りを止めることは出来ません。
逆に、原因があるから『雨漏り』が発生するともいえます。
その原因を特定していくには『雨漏りに対する正しい知識』と
なにより『雨漏り調査に取り組む際の心構え』がとても重要になります。
知識や経験だけで、雨漏りを解決する事は難しいのです。
さて、ここから本題に進みますが
このページでは、『雨漏り』に対する基礎知識を少し書いていきたいと思います。
住宅の基本的構造は、大きく分けて 『木造』『鉄骨造』『鉄筋コンクリート造』に分かれます。
そして、お家の作り方によって、雨漏り原因となる箇所が大きく変わります。
ですので、仮にお家に雨漏りが発生したと言っても、雨水の浸入口や浸出位置は、
『木造』『鉄骨造』『鉄筋コンクリート造』という、お家の構造で全く異なるという訳です。
・木造住宅の基本的防水の考え方
木造住宅における防水の基本的な考え方として『一次防水』『二次防水』という考え方があります。
簡単に言うと、二重の防水層で、建物内部への雨水の浸入を防いでいる。
という事です。
・『一次防水』とは
雨水に一番最初に当たる場所
つまり、屋根材(瓦・ガルバリウム鋼板など)や、外壁材(窯業系サイディング・モルタル外壁など)の、一番屋外側に露出している部分の事を指します。
・対して『二次防水』とは
『一次防水』の下側に入っている所
つまり、屋根材の下葺き材(アスファルトルーフィングなど)や、外壁材の下葺き材(アスファルトフェルトや透湿防水シートなど)の『一次防水』の下(屋内側)に入っている部分の事を指します。
二つの防水層が正常に機能する事により、室内への雨水の浸入を防いでいます。
ここで重要なのが、 『一次防水』で雨水の浸入を100%防ぐ事は難しく、雨水は『二次防水』の上にも若干流れているという事です。
その為、『二次防水』に不備があると、そこが雨水に対する弱点となります。
ですので、木造住宅で『雨漏り』が発生するという事は、『一次防水』を突破した雨水が『二次防水』のどこかの弱点から、建物内部に浸入した。
という事になります。
ここで、大きな問題があります。
『一次防水』は目視できるので不備があれば発見しやすいのですが、『二次防水』は『一次防水』の下側にあり、直接見る事が出来ません。
全て『一次防水』を撤去し、『二次防水』をやり直せば、雨漏りは治ります。
しかし、それは非常に大きな費用が必要で、現実的には難しいものです。
だからといって、浸入口が分からないまま闇雲に修繕しても、治らない。
もしくは、別の浸入口から再び『雨漏り』が再発する『複数浸入雨漏り』の可能性もあります。
これが、木造住宅の雨漏りを直す上で難しい部分となります。
・鉄骨造住宅の基本的防水の考え方
鉄骨造の場合、木造と大きく違うのは『二次防水』の概念がない事です。
外壁材のジョイントや、窓サッシなどの開口部など、全てにおいてシーリング防水に依存しており、シーリングのトラブルが、即『雨漏り』へ繋がります。
また、鉄骨造は鉄骨の梁などを伝い、雨水が遠く運ばれる可能性がある事から、雨水の浸入位置から浸出位置まで距離がある場合があります。
それは、浸入位置の特定を難しくさせる要因となります。
鉄骨造の外壁材によく使用される『ALCパネル』ですが、ひび割れが発生した場合、ひび割れが原因で『雨漏り』を引き起こす事があります。
また、ALCパネルにとどまらず、その他の外壁材でもシーリングの劣化(破断・界面剥離)が起きれば、建物内部に雨水が浸入してしまします。
上記の様に、鉄骨住宅は『一次防水』のみで雨水の浸入を防いでいます。
その為、『一次防水』の不備で簡単に雨水が浸入し、経年劣化に起因する雨漏りの発生も多く起こってしまいます。
シーリング材の耐久性は長くて10年程と考える必要がありますので、定期的なメンテナンスを行う事が、雨漏り防止の観点からは重要だと言えます。
・鉄筋コンクリート造住宅の基本的防水の考え方
鉄筋コンクリートは適正に施工されると、非常に水密性の高い躯体となります。
ですので、外壁そのものから雨水が浸入する事は多くないのですが
いくつか雨水の浸入を許す部分があります。
『コールドジョイント』『ジャンカ』などです。
・『コールドジョイント』とは
コンクリートを打設した際、作業上の不具合により、先に打ったコンクリート表面の硬化が進み、本来一体になるはずだった階層のコンクリートに、打ち継ぎ目が発生してしまった部分の事をいいます。
コンクリートは一度硬化してしまうと、その後打設したコンクリートとは一体化しません。
ですので、生コン車の遅れなど、人的なミスがあれば『コールドジョイント』が発生してしまいます。
それは雨水が浸入する弱点になります。
・『ジャンカ』とは
コンクリートを打設した際、バイブレーターの不足などにより、隅々までセメントペーストが行きわたらず、骨材が露出してしまった部分の事を指します。
内部にまで大きな空洞が出来てしまっていた場合、雨水が浸入してしまう可能性があります。
そのほかにも『打ち継ぎ目地』『セパレーター』や、『クラック』の発生箇所・『斜壁』・『陸屋根』など、雨水が浸入する可能性がある箇所は書き出していくと、数えきれません。
では『雨漏り』を止めるにはどうしたらよいのか。
『現状を正確に把握し』
『雨漏り浸入の仮説を立て』
『それに伴って散水テストを行う』
地道な作業になりますが、こうして浸入口を一つ一つ特定していく事が、『雨漏り』を止める、一番の近道であり
このどれが欠如しても、『雨漏りの原因』を突き止める事は不可能となります。
それだけ『発生した雨漏りを止める』事は難しいのです。
自分は愛媛県西条市で、小さな塗装店を営んでいます。
雨漏りに関する知識は、塗り替えの際でも大きく役に立ちます。
それは、施工を行う事で『雨漏り』につながるケースも、少なからずあるからです。
『軒の出』、『外壁の通気層の有無』など、色々な可能性を考えながら
塗り替えであれば『雨漏り』のリスクを軽減できる為の施工を。
『雨漏り』調査のご依頼であれば、真摯に向き合い、調査にあたる必要があります。
『雨漏り』が発生し、原因もわからず苦しんでいませんか??
・一切の先入観を捨て去ること
・雨漏りに真剣に取り組むこと
・雨漏りで困っているお客様に誠意をもって対応すること
これが雨漏り診断士にとって、とても重要な心構えだと明記されています。
この基本姿勢があるからこそ『雨漏り診断士』と言えるわけですね。
ですので、『雨漏りに関する被害』や『雨漏りに関する二次被害』が、少しでも改善できるよう
自分の心に従って行動する事が『雨漏り診断士』を取得した自分の責任であり、『本田塗装』の仕事であると思っています。
それでは、皆様によい未来が見えますようお祈り申し上げて、今回のお話は終わりたいと思います。
ありがとうございました。