瓦別塗りかえ手順書(モニエル編)

瓦別塗りかえ手順書(モニエル編) 

このページでは、瓦材別にその瓦に合った塗りかえ工法を紹介していこうと思います。

モニエル編の他にも、カラーベスト編・セメント瓦編・いぶし瓦&釉薬瓦編と続けていこうと思います。

まずは屋根材の中で一番クレーム工事につながりやすい「モニエル編」から始めたいと思います。

この様な瓦材を見た事はないでしょうか。

もしくはお家の屋根が、この様な瓦材の方は居られないでしょうか。

アップにするとこんな感じです。

この他にもこの様な形状のモニエル瓦もあります。

この様な瓦材が塗り替えの時、一番塗装欠陥が出やすい瓦材です。

この瓦、正式名称を「乾式コンクリート瓦」と言います。

モニエル瓦は、ラファージュルーフィング社(旧社名:日本モニエル株式会社)が製造していた商品名の事なんですが、世界的に、また日本でもモニエル瓦が広いシェアを誇っていた為、塗装店は乾式コンクリート瓦の事を通称「モニエル瓦」と呼んでいます。

他にもアサヒ株式会社が製造していたスカンジア瓦
ケイミュー株式会社(旧社名:クボタ松下電工外装)が製造していたクボタ洋瓦など、乾式コンクリート瓦にも様々な種類があります。

この瓦材には、「着色スラリー層」と呼ばれる層があります。

・着色スラリー層とは
セメントを成型後、コンクリートと同質の無機質着色材を1ミリ以上塗膜し、その上アクリル樹脂のクリアー塗料を施した層の事です。

下地のセメント瓦の劣化と共に、着色スラリー層と呼ばれる層も劣化していきます。
スラリー層が劣化すると粉化した粘土の様になり、この粘土層の様に劣化した下地が塗装欠陥につながります。

施工不良の場合、全体が剥離してくるケースが多いです

色々な種類の瓦材があり、セメント瓦の中には乾式コンクリート瓦と、かなり類似している瓦材もあります。

なので簡単に見分ける方法を書いておきます。

これも形状は違いますが乾式コンクリート瓦です。

近寄って見てみると・・・

分かりますかね。

瓦の小口がボコボコしています。

そして表面をさわってみると・・・

劣化した着色スラリー層が指についてきます。
これがスラリー層と呼ばれる部分で、このスラリー層が難敵なんですね。

塗装欠陥を出さない為には、とにかく下地処理をキチンとする。
これに尽きます。

特に高圧洗浄。

これが一番大事。
この高圧洗浄がキッチリ出来ていれば、殆どの塗装欠陥は無くなります。
とにかく、劣化したスラリー層は高圧洗浄にてすべて除去しましょう。

100㎡位の屋根で高圧洗浄機1台で、状態が良ければ半日程度。状態が悪ければ一日近く掛かる場合もあります。

洗浄中です。

高圧洗浄では非常に高圧の水でスラリー層を洗い流します。
その際に大量の汚れ水が飛び散るので、ちゃんとブルーシートを貼って汚れ水の飛散が無い様にしましょう。

洗浄後の写真です。

アップです。

さわって、ゴシゴシこすってみて、この様に指に全くつかない状態まで洗浄しましょう。

ここまで出来ていれば殆ど終わったようなものです。

後はシーラーを一回ないし二回塗れば下地処理は完了です。

一回目塗装中・・・

二回目塗装中・・・

一応、乾式コンクリート瓦には推奨塗料という商品も存在します。
オリエンタル塗料やアステックペイントが販売している商品です。

しかし、高圧洗浄をキッチリする事。そしてシーラーで下地を強固にする事。

これさえ出来ていれば「推奨塗料かどうか」というのはあまり重要ではないですね。

後は高耐候性塗料でも。高反射率塗料でも。

お好みの塗料を塗るだけです。

この手の塗りかえは一番最初の施工店が一番重要です。

瓦の素地を一番にさわる業者ですから、全ては最初の塗装店にかかっています。

剥離が起こる事だけは絶対にない様に。注意して施工に臨みたいですね。

ありがとうございました。

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